スタッフコーヘイが巻く、私的クラシカルフライ「ロスト&ファウンド」。直訳すると「失くす、見つける」ですが、海外では遺失物取扱所つまり忘れ物センターを意味する言葉です。フライ史に残る偉人達が考案した名作毛鉤を掘り起こし、時に忠実に、時に遊び心を加えて、お届けします。
Neversink Skater サイズ#14
※ 使用するマテリアルや色合いなどが異なる場合がございます。ご了承ください。
著名な作家であり発明家、キャッツキル地方のフライフィッシャーでもあった「エドワード・リングウッド・ヒューイット氏」による特異なフライパターンです。1937年に考案され、 スレッドとハックルだけで結ばれたこのフライは、まさにシンプルそのものですが、異常に長いハックルを持っており、一度見ると忘れられないインパクトがあります。 ヒューイットがこのフライを思いついたのは、白昼、大きなトラウトがひらひらと舞う蝶を狙って跳躍するのを見ているときだったそうです。このフライはしばしば激しいアタックを繰り返し引き起こす異例のアトラクターとして知られ、 魚が無気力な晴天の日のような通常のドライフライが通用しない状況で、深場から魚を引き上げる不思議な能力を持つと言われています。当時ヴィンセント・マリナロ、ジョン・アサートン、アーネスト・シュウィーバートなど、多くの著名な釣り人がこのフライを絶賛したそうです。 このネバーシンクスケーターのハックルはフックポイントを遮蔽するため、フッキング性能が低いと言われます。 しかし、晴れた日の午後、澄んだ水の中で大きな魚が襲いかかってくる体験は、フックセットの悪さを補って余りあると賞賛される傑作フライです。
シンプルなフライですが、タイイングに際して意外と細かな指定が多いフライです。
▪︎超ショートシャンク&ライトワイヤーの#16フックに結ぶ事。
▪︎直径が2インチ以上になる、真っ直ぐで出来るだけファイバーが硬いスペードハックルを使用する事。
▪︎2枚のハックルが表同士の方向になるよう結び、最後に前後から圧縮する事。
▪︎スレッドに決してワックスを使用しない事。
不思議なことにヒューイット氏本人が作ったオリジナルは残っておらず、ご本人が使用する分は伝説のタイヤー”ハリー・ダービー氏”に発注して作ってもらっていたとの話が残っています。
今回は、オリジナルのサイズ感、タイイング方法を守りながら、より使いやすくなるよう#14のショートシャンク&ライトワイヤーに変更しています。また昨今では2インチ以上の長さがあるスペードハックルは中々入手できませんので、現代の中で最も製作に適していると思われるコックデレオンのハックルを使用しています。